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生温い話ばかりです…
2024.11.24,Sun
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2013.06.14,Fri
6

 俺はコートの上で仰向けになった。勝負はついていた。俺が倒れることで終わったといってもいい。これまでと変わらず幸村は恐ろしいほどに強く神々しいまでにそのテニスは美しかった。
 どこに打ってもどんな球種も全て打ち返す幸村は、返せば俺が望む限りいつまででもラリーが続けられるということだった。望みには必ず相応の対価が必要だろう。
 俺はこのラリーを続け最終的には俺の勝利で終わらせるべく、必死に追い縋り駆け回り、幾度かは確かにその努力は実った。
 テニスとは不思議なもので、総合的なポイント数が多くても負けることがある。全ては終わってみなければ分からない。そして今、俺は負けていた。
 幸村に勝てたことはいまだ一度しかない。今回も俺は負けていた。悔しくないと言えば嘘だが、ただ悲しい辛いとそんな感情ばかりではなかった。この試合のために幸村が払ってくれた便宜と他からの協力、それに何より幸村とのテニスは楽しかった。楽しくて仕方ない。
 だからこそ勝ちたかったし、負けたくなかった。悔しくてたまらない。
 息を吸う度、俺の胸は大きく上下した。心臓の動きに合わせてまだ忙しなく動くウェアは、汗でぴったりと肌に張り付いている。もう汗は流れていなかった。脱水症状を起こしかけているのだ。
 そうと分かっていたがまだ体を起こすのが億劫だった。限界まできた疲労は、今にも俺を眠らせようとしている。
 目を閉じた視界が暗転した次の瞬間、ばさりと冷たい感触に襲われる。
「そんなところで寝るんじゃないよ、真田」
 慌てて目を開き体を起き上がらせると、こちらもひどく汗をかいた幸村が手にバケツを持って立っていた。アイシング用に買ってきた氷で冷やしタオルを浸してあったバケツだ。中身はなくなっていて、それは俺の胸から上をびしょ濡れにしているのだろう。
 一瞬の暗転のあいだ意識を失っていたのか、水のかかった記憶はなかった。氷と同じくらいに冷えた水のかけられた体が、思い出したようにぶるりと震える。
「…ゆきむら、これはいくらなんでもひどいぞ」
「いつまでも寝ているからだよ、それとも」
 のそりとどこか緩慢な動きで幸村が俺の上に屈み込む。
 手に持っていたバケツは適当に放り投げられ、からからと乾いた音を立ててコートを転がり出ていった。
「眠ったままがよかったとか言うのかい」
 俺が幸村の言葉に応えなかったのは、そう言った直後幸村の唇で塞がれたからだ。
 まるで水を飲むように、乾いた唇と舌で幸村が俺の舌と唇を吸う。言葉も息も幸村に飲み込まれてしまって、俺は起き上がらせたばかりの上半身を支えることさえできなくなる。俺の体は幸村の手の中だ。
 首に手をかけ、幸村は俺をゆっくりとまたコートの上に横たえた。すこしぬるくなった水たまりに背中が浸かる。
 正直濡れたコートに横たわるのははあまりいい気持ちではなかったが、すぐに馴染んで分からなくなった。
「は、あ」
 離れた拍子に息を吸おうと大きく口を開くと、幸村が更に口付けを深くしてる。歯列を辿って上顎を舐められ、肌が粟立つのを止められない。
 幸村の唾液が喉の奥へ流れていくのが分かった。飲み込めなかった分は唇の端から溢れ、頬を汚してコートも汚す。
「ゆき…むら…っ」
 口付けのあいだでどうにか声を振り絞って名前を呼びながら、俺は膝で幸村の下腹を押し上げた。高い熱の感触に後頭部が痺れたような感覚が走る。幸村のそこは勃ち上がっていた。
 低くうめいただけで、幸村はなにも言わなかった。代わりに俺のそこへ、幸村の手が掛かる。ウェアの上からきつく指を絡めるように揉まれて、喉の奥で俺はうめいた。俺も同じように角度を変えていた。
 口付けのせいだけではない。好敵手とのテニスは俺を熱くしその熱はこんな形でも表れた。強ければ誰が相手でも同じだったが、その中でも幸村は特別だった。
 高い熱に苛まれた俺を、幸村が抱いたのはこれがはじめてではない。最初はどれくらい前だったか忘れてしまった。俺との対戦に、幸村も同じように熱を高くしているのだと思えば当然の行為だとも思える。
 性急に俺のウェアと下着を脱がし、幸村は中心へと熱を押し当ててきた。俺が曲げた膝で押し上げたそこはかたく熱く、とてもそのままで入ってこれるような大きさできないと思えた。
 足首を掴まれ左右へ大きく広げられ、その状態でコートへ押さえつけられる。踝の突き出た骨が緑色の人工芝でこすれくすぐったかった。
「ぐ、あ、あああっ」
 先端からいちばん太い場所と入り込んでくる幸村に、俺は耐えきれず声を上げた。誰もいないテニスコートの高い天井に俺の声だけが尾を引き響く。
 そこで幸村が手を止めることはなかった。きつく閉じようとする俺の内側に構わず、幸村が更になかへ入ってくる。痛みと圧迫感に混乱する頭で、力を抜くよう俺は自分に言い聞かせた。
 幸村はなにも言わない。こういうとき声を上げるのはいつも俺ばかりだ、幸村はなにも言わなかった。経験で俺は、力を抜かなければただ辛いだけだと理解するしかなかった。
「ひっ、ぃん!」
 ただ久しぶりで俺がうまく緊張をほどくことができないとき、前触れなく幸村がそこに指を絡めてくることがあった。
 ウェアの上から握り込まれて以来、直接的な刺激を知らなかった俺の性器を幸村が扱く。掌でなぞられ先端を親指で押しつぶされる感覚の強さに、俺は大きく首を振った。
 俺が熱を吐き出してしまうまで、幸村の手は止まることがない。俺は何度も首を振り、幸村に手を離してくれるよう頼んだ。
「っう、あ、ゆき…!」
 勢いよく吐き出される熱に幸村の手が汚れるのが嫌だった。しかしこういった場面で俺の頼みを幸村が聞き入れてくれた試しはない。今日もそうだ。
 誰よりも強く美しい幸村の手が汚れるのを、俺は苦々しい気持ちで見るしかなかった。幸村の手を振り解きたくても、こう見えて幸村は恐ろしく力が強い。
 そしてその美しい顔で、幸村は恐ろしいことをする。
「ゆきむら…」
 荒い息でどうにか振り絞った声は掠れていて、幸村の耳には届かなかったかも知れない。聞こえたところで手を止めることはしなかっただろう。
 汚れた手を口元へ持って行き、幸村はその指に乗った俺の精液を舌で舐め取った。テニスのそれとは違う高い熱が、俺の意識を焼く。
 熱を吐いたばかりの性器は、まだ頭をもたげたままだ。

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