原稿中ですが

なんだかイマイチ処理に困る小咄ができたので、とりあえずあげておきます。
ほぼケイタイで打ったままなので読みにくいかと思いますが。
再掲するときにはもう少し手を入れます。
リョ→幸→真です。



やあ、久しぶりだねボウヤ。元気だったかい？それはよかった。くれぐれも体には気をつけるんだよ。君、好き嫌い多そうだし。なんでも食べて、大きくならないとね。
嫌そうな顔しない。ちゃんと牛乳飲んでる？
ああ、うん。そろそろだね。…なんだかあからさまな話題そらしだなあ。まあいいや。実際そうだしね。そうかい？俺は随分長居をしたと思っているよ。ボウヤだって分かってるだろう。俺と君の進む道は違う。スタートもゴールもね。交差しただけの道だよ。でもちょっと長かったかな。
どこに行くのかって！決まってるだろう。勝ち続ける以外になにがあるんだい？そうだね、進む限りは何度でも会うことはあるだろうね。だけど俺と君が同じ道を歩くことは決してないよ。
君のテニスと俺のテニスは違うものだからね。
うん。俺だってそう何度もボウヤに負けるつもりはないよ。俺は俺の天衣無縫を手に入れる。そして絶対に、次は勝つよ。待っておいで。
…まだなにかあるのかい？テニスは楽しい？何度も言わせるなよ、俺のテニスは俺のものだ。ボウヤに決められる事なんかなにもない。分かったかい？
寂しくないのかって？おかしな事を訊くね。なにも俺は一人で歩いてるわけじゃない。この道のすこし後ろを真田が、そのもうすこし後ろを蓮二が、更にそのあとを赤也やブン太や仁王、柳生、ジャッカル、それから我が立海の部員達が歩いてくるんだ。寂しいなんてそんなこと、思ってる暇なんかない。俺の歩く道が、そのまま彼等の道になるんだ。誇らしいことだろう。
ついてこれなかったらって？そんな奴は我が立海にはいないよ。…と言いたいところだけど、そういうことはあるだろうね。これからは。でもそれが、足を止めることになるのかい？確かに寂しいことだけど、俺が寂しさに負けて足を止めたら、俺のあとに続く者達はどうするんだ？俺に迷ってる暇なんかないし、立ち止まっている時間さえも惜しい。俺が俺の道を歩かなくて、誰が俺の代わりになれるのかい？
…いや。俺にはこの道を切り拓く、義務と責任がある。それを誰かに譲るつもりなんかないよ。
誰もついてこれなかったらか。そんなことは有り得ない。俺は真田を真田達を信じている。彼等を信じないで、いったいこの世のなにが信じるに値するんだい？今のはちょっと大袈裟に言い過ぎたかな？笑うところだよ。
それでも？ボウヤもたいがいにしつこいね。うんじゃあこれが最後だよ。
たとえば、そうだねたとえば誰もついてこなくなっても、俺は彼等を待つよ。一番高い場所まで行けばさぞや見晴らしがいいだろう、その頂で俺は待つよ。ずっと待つ。いつか必ず、やってくる真田を待つよ。
なんだい？いきなり抱きついてきて。可愛いことするね、越前リョーマ。じゃあすこしのあいだだけだよ。
すこしだけ、慰められようかな。



俺は一人の修羅なのだ(宮沢賢治)
これ好きなんですよね…