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生温い話ばかりです…
2024.05.06,Mon
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2012.07.08,Sun
5

 ベルトを外してスラックスを脱ぐだけのことが、他人の視線にさらされているとひどく難しいと真田は初めて知った。
 頷いた真田に幸村はにっこりと花が綻ぶように笑いかけると、数歩後ろに下がって部室の中央に置かれたベンチに腰を下ろした。脚を組みその膝の上に腕を載せて、軽く前に倒した首でじっと真田を見る。
「はじめて」
 練習試合を命じたときのような短い言葉で、幸村は真田を急かした。脱いだスラックスとベルトをどこに置くか一瞬真田は迷い、自分の後ろにあるロッカーの中へ戻した。
 ロッカーの戸を開け閉めすると造花とリボンががさりと音を立てる。その中へ丁寧にたたんでしまい、戸を閉めところでそれはやってきた。
「っひ! ななな、なっ」
 不意に後ろからやってきた感触に、真田は悲鳴を上げた。鼻先に、体臭の薄い幸村にしては珍しい汗のにおいがした。
 尻を覆う形になっている褌の上から、幸村の細い指がそのあいだに差し込まれたのだ。異物感が不快で、ぞっと鳥肌が立つ。幸村がなぜこんなことをするのか分からない。
 さっきまで座っていたはずではなかったかと思うが、背を向けた途端に幸村が立ち上がっていれば踏み越えるのに難しい距離ではない。問題はこんなことをしようと思いつくかどうかだ。真田なら考えない。褌に指を突っ込んでなにが楽しいのだ。
「うっ!」
 なんの冗談かとといかけ逃げだそうとした真田の尻のあいだへ、幸村がぐいとさらに深く指を差し入れてくる。そんな風に開かれたことのない体の一部に、真田は凍り付いて動けなかった。
 きつく拳を握ってロッカーを凹ませてしまいそうなくらい強く押しつける。鈍い痛みは尻のあいだに入り込んできた指の存在をすこしも解消してくれなかった。
「この辺だね、ほら」
「い、いつ…っ!」
「ああ、入るよ」
 無造作に幸村の指が、尻の奥にあるすぼまりを押し上げる。閉じられている小さな穴を布地ごと押し入ってきた指で拡げられ、真田は痛みに声を上げた。
 布越しとはいえそんな場所を弄られるのも耐え難かった。ましてやそれをしているのは幸村だ。不快感と痛みとひどい罪悪感が真田の中で渦を巻く。
 これからなにをされるのかというのは二の次だった。考える余裕が残っていない。幸村がなぜこんなことをするのかはもとより分かるはずがなかった。
「ちょっと待っておいで」
 不意にそんなことをいって、幸村が遠ざかる。飲み込まされていた指の感触も消えて、真田は崩れるようにしてその場に座り込んだ。すこし動いただけで、幸村の指で押し込められていた布は外へ出ていった。
 体の中から乾いた布が引き出されていく感触は強烈で、真田は短く息を飲んでどうにかやり過ごす。シャワーを浴びたばかりだというのに、全身にひどく汗をかいているのが分かった。
「おまたせ」
 幸村はすぐに戻ってきた。シャワーを浴びていない体からは汗とコートの砂のにおいがまだ感じられた。それらは、幸村のどこか甘い声も含めて不快ではない。
 それはけれど、この場から逃げ出さなかった理由になるのだろうか。
「最初が立ったまんまじゃやりにくそうだからね」
 座り込んでいた真田を幸村が許した理由だったのだろう。先までと同じように、真田の背後へ回って幸村は腰を下ろした。前へと体を倒すようにいい、真田はこのときも抵抗しなかった。
 ロッカーの冷たい金属の感触へ掌をあて額をそこに押しつける。ひやりと肌が冷え、自分はいったいなにをしているのかと真田は思った。
 下着一枚の下半身で幸村にそんな場所を開かされて、それの名前を真田が思いつく前に幸村が再び触れてきた。
 今度は布越しでなく、脇へと褌を追いやって作った隙間から指を差し入れて直接触れてくる。
「やめ、やめてくれゆきむら…!」
 そんな場所、ましてや幸村が触れるなんて、汚い汚してしまう。混乱して真田は結局どれにもならない声を上げただけだった。幸村の指が真田の中へ入ってくる。
 布越しのときよりそれはずっとはっきりしていて、間接の形まで分かるくせにほとんどなんの抵抗もなく入ってきていた。潤滑油となるものを幸村は取ってきたのだろう。粘ついた水音が小さく聞こえた気がした。
 耳を塞ぎたい真田の頭上で、幸村が鼻先で笑う。
「汚かないよ。お前はシャワー浴びたばかりだろう」
「い…いやだっ」
 きつくきつく額を手の甲に押しつけ、真田は声を絞り出した。逃げ出すことのできない真田の中に、幸村の二本目の指が差し込まれる。
 奥で拡げられるたまらない不快感に、真田は吐き気さえ覚えた。
「気持ちいいだろう?」
「う…うそだ……っ」
「そう? 今はよくなくてもその内よくなる」
「うそだ…!」
「俺は真田に、嘘はつかないよ」
 真田がいちばんよく分かっていることだろう。幸村が覆い被さるようにして耳元で囁く。
 その通りだ幸村は決して間違ったりはしない。ではこの感覚はよいものなのだろうか、真田の意識がほんのすこしだけそちらに傾いた途端、背筋をなにかが駆け上がってくる。
「ひっ、ゃ…!?」
「ほら、気持ちいいんだろ?」
 幸村が同じ問い掛けを重ねてくる。真田はゆるく首を振った。
「気持ちいいよね?」
 しかし三度目の問い掛けを否定することはできなかった。緩く曲げられた指が中を拡げながらぐるりと回る。
 快いと自覚してしまうともう駄目だった。それが幸村の指によって与えられているものだと思えば、なおさら快感は強まる。持ち上げた腰を支える太腿が震えはじめる。
「つらい? 真田」
「あ、う…ゆき」
「じゃあ上向いて、こっちにおいで」
 後ろに幸村の指を飲み込まされたまま、肩を抱かれ体を持ち上げられる。息を吐くこともできない。
 幸村のいう通りに顔を上げ、背中を幸村の胸に預けてようやく指が引き抜かれた。ほと重く塗れた息を吐いた真田の耳元で幸村が薄く笑う。
「気持ちいいだろう、真田」
 四度目に幸村が口にした言葉の理由を、真田はしばらく分からなかった。もう真田は幸村の言葉を否定できなかったしそれは幸村もよく分かっていることだろう。わざわざ真田に同じことをいう必要はないはずだ。
 淡い疑問は幸村にそこをなぞられてすぐにかき消えた。
「っあ! やめ」
 締め付けている分、上向けばすぐにその変化の知れる褌の前に、幸村が掌をやりぐるりと円を描くように撫でた。こどもの頭でも撫でるようなやわらかい動きは、すぐに真田のそこに絡みつく指に取って代わる。
 気持ちいいかと幸村はもう問いかけなかった。真田も答えられない。前に指を絡めながら、幸村の指は後ろからも近付いてきて真田の中へ入ってくる。
 汗と真田自身から滲んだもので湿った褌の上から扱かれて、真田のそれはあっさりと上を向きはじめた。自分の手で与えるよりよほど強い感覚に息が止まりそうになる。
 息を飲んだ瞬間を狙ったように、幸村の指が奥深くを突く。
「うっ」
「大分ゆるんできてる。自分でもここをいじったりしてるんだろう?」
「ば、かなことを…っ」
「そう? それならこれから、お前は大変だよ」
 どこか憐れむような声で幸村がそういった。同情を向けられる理由が真田には分からない。
 ひどいことを強いられているとさすがに真田も理解していた。それに対して申し訳ないと、幸村が思っているからだろうか。しかし幸村の声音は真田が期待するものとは異なっているように聞こえた。
 なにより悪いと思っているのなら、幸村はその手を止めてくれるだろう。幸村はあえて人を傷付け楽しむような男ではない。
「ひ………ぁ」
 するりと奥にあった指が引き抜かれて、その強烈な感覚に真田はうわずった声を上げた。内側がめくれるような感触がして、自分の中に三本も幸村の指が埋められていたことを知った。
 拡げられた場所が外気にさらされ濡れていることを嫌でも感じさせる。尻を載せて上半身を支えている踵がぐらぐらと揺れる。
「こっちにきて、しっかりつかまっておいで、真田」
 幸村が耳元で囁く。その理由を考える余裕が真田にあるはずがない。震える手を伸ばして幸村のわき腹辺りを掴んだ。
 手触りからまだ着替えていない幸村は、ユニフォームを身に着けたままだと真田は知った。さらりと乾いた生地の感触は、次いでやってきた痛みと熱に広げられる感触に押し流される。
「い? あ、あ、ぁあああああっ!」
「力を抜きな」
「やっ、むっ、むりだっ」
 後ろから入ってくる幸村の大きさに喘ぎながら、真田は何度も首を振った。無理だ。そんなものが入るわけがない。
 背後で見えなくても、幸村の大きさはよく分かっていた。同性で部活も同じで、知り合ってから何年が経っていると思うのか。数え切れないくらいの回数は見ているだろう。だから無理だと真田は繰り返した。
「む…っり」
「馬鹿を言ってないで力抜けって」
「そん…なっ」
「呼吸を止めるな、真田」
 後ろから幸村の声が低く囁く。それに従わない理由はなかった。なにを置いても、真田は幸村の言葉にだけは従ってきていた。テニスで勝つことだけではない。
 幸村がそういった理由がそのときには分からなくても、あとになって、真田が幸村の言葉を叶えられたときになってはじめて幸村の真意が分かることも多かった。もっと言えば分からないことの方が余程多いだろう。
 だとしても真田が、幸村の言葉に抗う理由はない。幸村に言われた通りゆっくりと息を吸い吐き続けた。
「は……ぁ」
「そう、がんばって」
 さなだと最後に呼びかけられると同時に、ずっと音を立てて幸村が中へ入ってきた感覚があった。目の前が霞む。
 それでも真田は息を止めることはしなかった。確かに呼吸を続けていると体の強張りはわずかに緩み、ゆっくりと幸村が中へと入ってくるのが分かる。
「う…あ」
「ん…やっぱりきついな」
「あ…あたりまえだ…っ」
「うん。こっちきて、真田」
「ひっ!」
 二の腕が掴まれ、強く引かれると同時に幸村が腰を下ろす。幸村の上に跨がる形になって、真田自身の重さでそれまでより深く幸村が入ってくることになった。
 反射的に脚が伸び震えて、目の前にある自分のロッカーを真田は蹴り上げた。戸に貼り付けられた紙の花ががさり音を立てて揺れる。
 霞む視界で、真田は揺れる花を見た。
「分かる? 全部入った」
「…わ、分かるか…っ」
「そう。じゃあこれは?」
「あ!」
 幸村に抱え上げられた体が揺さぶられる。大きく声を上げた真田の体を、幸村は何度も揺らす。すがるものも支えるものもない真田の体は左右に大きく振れて、その度に幸村を深く飲み込んだ。
 かき混ぜられる内側で幸村の存在が嫌でも強く感じられる。膨らんだその輪郭が真田を苛み追いつめる。
「きもちいいだろう?」
「ひ、ぃっ、は!」
「きもちいいって言ってごらん、さなだ」
 熱を持った幸村の声が耳を叩き、幸村自身がそう思っているのだと真田に教えてくれた。自分の中にいて幸村が快いと思っていると分かった途端、熱が高くなるのを真田は感じた。
 幸村が感じるものを真田も知りたかった。痛みと圧迫感ばかりから意識を逸らせてみると、不意に強くその感覚がやってきた。
「ひあっ」
「ほらきもちいいんだろう?」
 もうほとんど解けてしまっている褌の中へ幸村が手を入れ、中途半端に張りつめたまま放って置かれていた真田に指を絡める。
 一度幸村から与えられるものを知ってしまったそこは、すぐに高ぶり熱を持って反り返る。幸村のいうとおりだ。
「い…いっ…!」
「うん。いいこだね真田」
 幸村が囁き、撫でるように首筋を舌が這った。腰を抱いていた掌が太腿を滑って、太腿を抱え上げて真田の体を大きく揺さぶる。
 奥まで飲み込んだ幸村に突き上げられる感覚をなんといっていいのか真田にはまだ分からない。焼け付くようなそれは痛みによく似ているけれどすこし違う。他では味わったことのないものだ。
「ほら、いいって言ってごらん真田…っ」
「あ、い、いいっ! ゆきっ」
 ただそう声を上げると、幸村が満足げに真田の名を呼んでくれるのが嬉しかった。揺らされる幸村が中で膨らむのも分かる。
 幸村がいいのだと思えば、真田も悪い気分ではない。
「さなだ、こっちむいて」
 水音が立つほど揺らされながら、幸村が小さな声でそういうのが聞こえて真田は肩越しに振り返った。首だけをまわし幸村を振り返る体勢はすこしつらい。
 それでもこちらと幸村が言葉を繰り返すから真田はどうにかもうすこしだけ首を伸ばし幸村を見た。
 いつもどれだけコートにいても色を変えることのない白い肌が、赤く染まっていた。赤い唇が小さく動きなにかいう。
「   」
 さなだと声もなく自分の名前を呼ぶのが分かると同時に、幸村の顔が近付いてきてその唇が真田の同じ場所に押し当てられた。口付けられていると思った途端に、頭が真っ白になった。
 ああいま自分と幸村はセックスいというものをしているのだと、ようやく真田は理解した。好きな者同士がするというあれだ。幸村は自分を好きだったのか。
 真田はずっと幸村が好きだったけれど、幸村もそう思ってくれているとは知らなかった。
 入り込んできた幸村の舌に舌を絡めると、驚いたような気配が伝わってくる。真田も驚いていた。こんな場所でこんな形で幸村と繋がることになるとは思っていなかった。
 もっと優しくされるものだと思ってもいたけれど、それは女子供じみた考えなのだろう。部室はどうかと思うが、幸村の選んだ場所だ。
「は…っ」
「さなだ」
「あ、ゆ、ゆきむ…っ」
 一度離れたあとすぐに幸村の唇が近付いてきて真田の口をふさぐ。息もできないような口付けをされながら、幸村の手は器用に動いて真田の前に絡まり熱を搾り取るようになぞった。
 限界はすぐだった。後ろから揺さぶられ深い場所を突き上げられるのも今の真田には耐え難かった。きもちいい。幸村の言う通りだ。
「…っ、ぁ、あああっ」
口付けられたまま声を上げて真田は熱を放った。幸村のものが奥で吐き出されるのとほとんど同時だったろう。
 他で味わったことのないたまらない感覚に目を伏せると、褌の中央付近がじわりと滲むのが見えた。真田の吐き出したものが染みたのだ。
 はじめて真田は自分が置かれている状況をひどく恥ずかしいものだと思った。





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